受け入れ洗浄機ローダー設計
業務期間:2000年10月〜2000年12月
業務分類:リビルド
実施企業:C社
背景
C社新工場TFT工程立ち上げ時、潤沢な費用がなかったため、中古設備をP社から購入せざるを得なかった。購入した設備群の中で基板搬送ロボットは別件で報告のように多数の工程に改造後導入したが、このTFT先頭工程にもローダーとして投入せねば費用が不足する可能性があった。P社では全く異なった目的のために使われていた当該装置を改造設計しローダーとして導入することとなった。
概要
TFT受け入れ洗浄装置は、TFT先頭工程である。入荷した素ガラスを人手で洗浄機に投入してゆくが、その時に作業者1名を1日中この投入作業のみに使うことは労働力の無駄使いである。また、本人が休憩時間などに持ち場を離れることによる投入作業のムラをなくすことも大切な作業平準化であった。このような状況から人手でこのローダーのセットステージにガラス基板を投入するものの、投入後のガラス基板を貯め込んでおくバファーが必要となった。バッファーはタクトの関係から4カセット分100枚弱で充分と考えた。
作業者、ロボット、洗浄機の想定動作
- まず作業者がローダー投入ステーションにガラスを投入する。
- 次にローダー中央部に座る搬送ロボットが投入ステーションに投入されたガラス基板を掬い上げた後、バッファーであるカセットに基板を投入してゆく。
- 一方洗浄機の投入ステーションから基板が洗浄機に呑み込まれると、ロボットはバッファーに先入れされた基板から順番に洗浄機にガラス基板を投入してゆく。それが終わると、再びローダーのセットステージからガラス基板を掬い上げる。
作業者が投入するタクトは洗浄機のタクトより一桁以上短いのでバッファーが満杯になると作業者は、ガラス基板投入を停止せざるを得なくなる。例えば昼休みなどはこのバッファーに貯まった基板が自動的に洗浄機に投入されてゆく。作業者は一連の基板投入作業が終了すると他の作業ができるが、ロボットは殆ど休みなく稼働し続ける。
このような動作になるように構想しローダー設計を実施した。
設計内容
- 別目的で使用されていた装置の開梱(P社からの輸送物)
- 上部不要物の撤去(カバー類、有人搬送車とのドッキング部)
- 寸法取り
- これから使うであろう分解した残りの部分の作図
- (4)の部位に人手でのガラス基板投入ステーション部の付加設計、安全カバー設計(ロボットが人に危害を及ぼさないための防護措置)
-
基板投入ステーション部設計
- 基板ガイドの一か所にガラス肉厚測定レーザーセンサ付加
- 肉厚寸法キャリブレーション用基準治具設計
- 中央部にロボット本体とその下部フレームのレイアウト設計
- ソフト設計担当者とのボード類レイアウト打ち合わせ
設置
- リビルドに使っていた空き工程からの搬送
- 設置後、ロボット本体の耐震用支持ステーアンカー打ち事前に床下のアンカー打ち込み予定位置に配管類が無いことを確認済
- 配線、通電、動作確認
- ロボットティーチング
- 製造担当者へのティーチングを含めた教育
製造コスト
他の設備も含めて新工場立ち上げ費用の中に含まれており、予算管理の立場になかったこともあって詳細に把握はできなかった。但し、ロボットは改造導入の中の34台中の1台を使用したため50万円弱程度しか掛かってはいない。その他の部位は外部の加工メーカーに製作してもらったのでこちらは全部で50万円ほどであったと記憶している。制御にどの程度掛かったかが資料が無く不明であるが仮に100万円として全部で200万円程度程度ではなかったか?と考える。新規にいずれかの装置メーカーに設計製作設置依頼すれば、1000万円は下らなかっただろうと予測される。
ちなみに旧工場のウェット系のローダーやアンローダーにはT社製のものが使われているがいずれも3000万円/台である。それに比べて桁違いに安価な装置が出来上がった。これを記載したのは2013年5月であるが、導入後13年を経過し、いまだにさして大きなトラブル無く稼働中である。